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2023.02.27
宗教法人に関する雑感
最近、宗教法人に関する議論が大きくなってきています。宗教法人は、宗教団体が法人化したもので、公益法人のひとつです。宗教法人についてよく言われるのが税制優遇ですが、宗教法人が税金面で優遇されるのは、その公益性から来ています。
宗教法人に関しては、宗教法人法という法律があり、この法律で宗教法人を規定しています。本来、日本では、信仰に関しては信教の自由が保障されており、自由なものです。そのため、国が宗教団体に対して何らかの介入を行うことも原則できない形になっています。ただ、宗教団体といえども一般社会から全く離れたところにあるものではなく、社会の中で活動する以上、純粋な宗教活動だけでなく、世俗的な活動も避けて通ることはできませんので、宗教法人は、聖と俗の両面を持つと言われています。その上で、俗の部分(経済活動など)については、法律で規定しているということです。
宗教法人法は、主教法人の組織や財産管理等と規定していますが、その内容はシンプルで、その基本理念は、性善説的であり、自治や自律性を期待されているものと言われています。そのため、悪意のある人やいい加減な人が運営すると法の理念から逸脱し、困ったことになってしまいます。また、さきほど宗教法人は聖と俗の両面を持つと言いましたが、その線引きも現実問題としてはあいまいなところがあります。そうなると、実際に、法律がどこまで介入するのがよいかが微妙なところが出てくるのです。人が信仰を持つことは、人権として保障されなければなりませんが、宗教団体が一般社会の中で活動するところでは、社会のルールに従わなければならず、そこで絶妙なバランスをとることが非常に重要です。
現在、宗教法人の数は、18万程度ありますが、この数年は、わずかずつですが、減少傾向にあります。少子高齢化の影響や経済状況の悪化で苦しむ宗教法人も多くあります。弁護士として、宗教法人の抱えるトラブルに関わることも出てきています。法律の専門家としてどこまでできるのかというところはありますが、宗教法人も先ほどの性善説的なところを前提に、法律を守って誠実に運営していくことが生き残っていくためには大切なことだと思います。このような観点から、我々も、弁護士として、宗教法人をサポートできればと考えています。