民事の裁判の流れ
まずは相談から
通常、依頼者の方がトラブルを解決しようと思って、法律事務所を訪ねても、弁護士はいきなり依頼を受けて、裁判をするということはほとんどないでしょう。
一般的には、まず、法律相談を行い、トラブルの内容を明確にし、法律的観点から、どのような問題があり、どのような対処方法があるかを考えます。内容によっては、弁護士に依頼するまで至らず、相談だけで終わることもあります。1回だけの相談に止まらず、継続して相談をお受けして、解決に導くこともあります。
法律相談やアドバイスだけで解決の見通しが立たない場合、弁護士が依頼を受けて解決にあたることになります。但し、このような場合でも、いきなり裁判ということではなく、内容証明郵便を送って、話し合いで解決しようとすることが多いでしょう。
話しあいで解決しないときは最終的に裁判を起こすことになるのです。
訴訟
01
訴訟提起
裁判を起こすとなると、請求内容を書き記した訴状というものを作成し、裁判所に提出します。
そのときに請求内容に応じた収入印紙をつけ、郵便切手を予納し、必要な添付書類を付けて出します。
02
訴状送達
訴状が受けつけられると、第1回公判期日が決められ、相手方に訴状とともに呼出状が送られます。相手方が、これを受け取ると、第1回の約1週間前までに相手方の言い分、反論を記した答弁書というものの提出が求められます。こうして、第1回公判期日が開催されるのです。
03
第1回公判
第1回公判期日では、訴状が陳述され、それに対する答弁を陳述することになります。
一般的な民事訴訟(離婚訴訟などのいわゆる人事訴訟を除く)の場合、この第1回公判期日に答弁書も出さず、呼び出しに応じない場合は、敗訴となります。これを欠席判決と言います。ですから、仮に、あなたに訴状が送られてきて、そのままほったらかしにしておくと大変なことになりますので、注意が必要です。
04
弁論手続
裁判では、初め、双方の言い分を整理するための手続が行われます(準備書面という書面のやり取りが行われます)。何度か、互いに主張反論を繰り返し、その訴訟で何が争点であるかを明らかにします。十分に互いの主張が出尽くして、争うべき部分が明確になった段階で、証人や当事者本人たちの尋問が行われます。
05
証拠調べ
それぞれが提出した書証については、随時、取り調べが行われます。
互いの主張が、整理できた段階で、人証(当事者本人や証人)と取り調べとして、法廷で尋問が行われます。最近では、尋問に先立ち、尋問の内容を記載した陳述書を書証として提出することが多いです。
通常、尋問は、訴訟手続の最終段階で行われます。
06
和解
ただ、裁判が始まっても、ある程度の割合のケースは、途中で、双方の話し合いの機会を設け、和解といって、話し合いの合意によって、裁判を終了させることになります。裁判と言っても裁判官の判決ではなく、話しあいで終了させることも多いのです。
和解は、争点が整理できた尋問の前に行われる場合や尋問後、判決の前の段階で行われることがあります。
07
判決
和解ができず、すべての証拠が出そろった段階まで至ると、裁判官が、最終的に、どちらの言い分が正しいかを判断し、判決を下します。
判決が出た場合、判決内容に不服があれば、控訴ができます。地方裁判所の裁判の場合は、高等裁判所で改めて、裁判官の判断を仰ぐことができることになっています。
執行
民事の裁判で和解が成立した場合や判決が確定した場合、相手方が、素直に決められたことを守ってくれればそれで紛争は解決、終了です。
しかし、相手方が和解条項や判決内容を守ってくれないときは、強制執行という手続をとる必要があります。
たとえば、金銭の支払いを内容とする場合、相手が支払ってくれなければ、相手方の財産を差し押さえるなどして、支払いを強制することになります。
相手方の財産状況を調べ、裁判所に強制執行の申立てを行い、それぞれの手続を進めていくことになります。
相手方の財産が、不動産の場合、これを差し押さえて競売にかけ、現金化して回収します。
預金などの場合、裁判所の決定を得て、銀行などから取り立てて回収します。
強制執行するにも相手方の財産状況を十分に調査して、財産を特定し、申立てを行うことが必要です。